駄話日記

おもしろきこともなき世をおもしろく すみなしものは心なりけり

トロントマラソン 完走(感想)

5月5日。

トロントラソンに出場しました。

 

初のフルマラソンです。カナダで迎えるなんて思いもしませんでした。

今回は、シンプルな記録としての文章と、色々と思ったことを長めにつづった二部構成で行こうと思います。

 

本文ではSUB4を目指したランナーの感想です。なかなか仰々しく書いてありますが、僕の感想なのでほっておいてください。

 

5月3日 事前受付

5月5日から事前受付を行っていました。当日のスタートは7時30分。当日にできるはずがないので、事前に受付を済ませます。

受付会場ではランニングエキスポが開催されているので、エナジーバーなどを買うこともできます。

パッキングは、忘れ物がないようにノーリングで確認しました。

f:id:white-kutsushita:20190506124447j:image

 

5月4日 前日

僕の家からスタート地点までは1時間弱かかります。また、TTC(カナダの地下鉄)は日曜日の朝は動いていません。バスもトロントラソンにおける交通規制のため潤沢ではないので、会場近くのフィンチ駅付近に住む友達の家に前乗りさせてもらいました。非常に助かります。

 

5月5日 当日

この一週間はずっと雨が降っていたのですが、当日は嘘のような快晴でした。僕は雨男なので、晴れ男、晴れ女が沢山終結したに違いありません。

 

スタート前にトイレに行きましたが、なかなかの行列。結局スタート5分前にギリギリ用を済ませることができ、準備運動もそこそこにSUB4のペースメーカーの近くに行きます。今日の目標は

①完走

②楽しむ

③SUB4

でした。

f:id:white-kutsushita:20190506124514j:image

スタート~10㎞

ペースメーカーのおかげで、安定して5分40秒前後を刻めます。普段一人で練習しているので、複数人で走るには思ったよりもコツがいりました。何より、みなペースメーカー付近に集結しますから時折身体が接触します。「I’m sorry」と咄嗟で英語が出るあたりが海外にかぶれてきた証拠です。

 

10㎞~20㎞

特に問題ありません。快調にペースを刻みます。寒くもなく熱くもなく本当にちょうどいい気温でした。12㎞地点でアミノ酸、13kmでバナナ(支給)、14㎞でCLIFで補給しました。脚は全く問題なかったのですが、どうにも左の臀部が痛みました。始めての経験なのでやや戸惑いです。

 

20㎞~30㎞

何度か補給をしながら走ります。大体このくらいの距離になるの「なんで走っているんだろう…」と考えます。30㎞付近で、GPSでのアナウンスと運営側がセットしている距離に2㎞ほどの乖離があり、30㎞付近からどちらが多々しいのかが分からなくなりました。(後から確認したら、GPSが一区間で蛇行しており、勝手に距離が加算されていました。)30㎞付近でペースメーカーが「1分の遅れがある」と言い、ペースをやや上げました。ここから地獄が始まります。

 

30㎞~35㎞

コースの下見をしていなかった僕が悪いのですが、いまいちルートが分からずに疲れだけが蓄積します。というのもある地点で折り返しのコースになっているのですが、折り返しというよりは池を周回するルートだったので、何時まで経っても折り返しが見当たりません。「あぁ周回するんだ…」と気が付いた時には僕の足は一度限界を迎えました。

 

35㎞~41㎞

この間は本当にひどかったです。1㎞ごとに止まってストレッチしたり、足を引きずりながら歩を進めます。本当は歩きたくなかったのですが、37㎞でいよいよ走れなくなり2㎞ほど歩きました。誰も知り合いなど見ていないから歩いたところでなんともないのですが、恥ずかしさが勝ります。

悔しいですが、これが今の僕の力量です。練習が足りなかったかな、準備運動不足かな、補給かな…いろいろなネガティブな感情があふれてきます。ただあふれたところでどうにもなりません。

そこから「完走と楽しむ」だけに目標を切り替えました。

 

41㎞~ゴール

41㎞のサインが見えました。あと一キロです。あと一キロで僕の初のフルマラソンは終わりを告げます。こんな時に格好つけてもしょうがないのですが、最後くらいは颯爽にゴールをしたいと思いました。

音楽を切り替えます。椎名林檎の「NIPPON」を流します。フルテンギターを聞くと不思議と脚が動きます。なんだ、まだ動くじゃん。単純にそう思いました。飛ばします。椎名林檎の歌に乗って走ります。気分はNHKのワールドカップダイジェストみたいな感じです。今まで抜かされてきた人たちを一気に抜き返します。いや順位なんて正直どうでもいいんです。ただ、弱弱しくゴールしたくなかった、ただそれだけです。

ゴール付近になると歓声が大きくなります。自然と涙が出てきます。歩いたこと、SUB4を達成できなかったこと、そんな悔しさが一気に感情となって溢れます。ただ、泣くのは後ででもできます。まずはゴールすること。

 

走りながら、椎名林檎の歌と一体になる感じがします。

 

僕は42㎞という、最果てをめざして走ってきました。

単純に走ってみたいという、混じりけのない青い心です。

気忙しく観客が祝福してくれています。

その歓声に応えるために僕は最後の1㎞を走ります。

 

ゴール

4時間22分。僕の初フルマラソンは終わりました。

残念ながら至上の人生まではたどり着きません。そんな簡単なことではないよ、心の中で諦めます。ただ、新しい景色はうすぼんやりですが見れたような気がします。

なにより、42.195㎞を走り切りました。それだけでも一つの経験です。

 

まとめ

初のフルマラソンはこんな感じで幕を閉じました。7時半にスタートし、11時50分に終了したのですから、思いかえしてみたらあっと今の4時間30分です。

刹那的ではありますが、長い道のりであったことに違いはありません。そこまで熱心に練習できたわけではないですが、今日までの道程の方が圧倒的に長い。ただ、それは何事においても共通すること。練習で出来ないことは本番ではできないように、結局プロセスがどれだけ大切か。

そして、その過程を披露する場はなんと刹那的なんだろう。ただ、その瞬間を味わいたいがために人は努力をします。そんなことを淡々とゴール後に思いました。

 

また僕はその刹那を味わいたいと思っています。今年になるか来年になるかはわかりません。ただ、そこに向けて改めてトレーニングを積んでいきます。至上の絶景を目指して。

f:id:white-kutsushita:20190506124542j:image

最後になりますが、運営の皆さま、ボランティアの皆さま、声援をくださったすべての人、そしてトロントに敬意をこめて。