駄話日記

おもしろきこともなき世をおもしろく すみなしものは心なりけり

大河いだてんに足りないものはカタルシスだ!

そう、僕は思う。

 

大河『いだてん』はここ数年で珍しくすべて見ている。

クドカン脚本で中村勘九郎が主演。

クドカン作品はIWGP木更津キャッツアイなど、盛りのついた若者が主人公が多く、今回の『いだてん』もまさしく適任と思っていた。

 

しかし、ここ数回、特に先週の「敵は幾万」を見る限り、これはやばいぞと素人ながら感じた。

理由はタイトルでも書いた通り、カタルシスの欠如だ。

 

カタルシス

古代ギリシャの医学で、病的な体液を体外へ排出すること。

④抑圧されて無意識の中にとどまっていた精神的外傷によるしこりを、言語、行為または情動として外部に表出することによって消散させようとする心理医療の技術、浄化方法。精神分析の用語。 

                              広辞苑

 

 つまり、内に秘めた苦悶、羞恥を発散させる雰囲気が一切ない。スポーツがテーマだったら、カタルシス万歳でないと、面白みに欠けるのではないだろうか。

 

先週の話は、いよいよ金栗と三島がストックホルムへ向かう。しかし、、三島は依然母や、兄からオリンピックへ出場することを認めてもらっていない状況。さらに、オリンピックへ行ったら、家族との縁を切るとまで言われている。

そんな中、三島はストックホルムへ向かうことを言えないまま出発の日を迎える。

 

出発の新橋駅は黒山のような人だかり。無事、金栗、三島、大森夫妻が乗り込みいざ出発。その時、三島兄、母が登場。

兄「母に告げづに行くやつがどこにおるか!」

母「あなたは三島家の誇りですよ」

ヤヒコと母、号泣メーン!

 

おい、ふざけんな。

今まで、母がヤヒコを思うシーンあったか。当日にユニフォームを縫っているシーンだけだろう。

 

確かに、金栗が「子を心配しない親なんておらんばい」みたいな、家族大切を説いてるシーンはあるけど、それだけだろ。

スポーツをしているのは三島家の恥のようなことばっかり言っていたのに、いざ出発になったら手のひらを返しやがって。

 

例えば、

  • 幼少のころからヤヒコが運動しているのを誇らしげに見守る母とか、
  • やんちゃしすぎて、心配している母とか、
  • オリンピック予選で優勝した記事を本当は大切に持っているとか、
  • さらに、そこまでスポーツを嫌っている理由付けとかさぁ

いくらでも、実はヤヒコを誇りに思って、大切にしていますの背景をつける機会はたくさんあっただろうに…

そのようなシーンや、心理描写があれば、昨日の新橋出発のシーンは号泣メーン!なシーンになったに違いない。

急に手のひらを返されたって、感動しないんだよなぁ。

 

というか、足袋屋と三島母がほぼ同じユニフォームを作っていることに違和感がありまくり。もし、足袋屋と三島母が裏で相談してユニフォームを作ることを話し合っていたのなら、感動ものになるのだけれど…

 

ヤヒコもヤヒコではなっから家族に認められるのを諦めているから、母と号泣しているシーンに違和感が生まれる。

例えば、兄は頭がよくて、自分は追い付けないことを悟って、認められるためにスポーツを始めましたとか、ヤヒコ側にもカタルシスを生むためのバックグラウンドが欲しいとことろ。

 

当日になって号泣メーン!しているような急増仲良し家族だったら、一緒にストックホルムでもどこでも行ってしまえ。

 

次に、金栗。

そっちもそっちで甘やかされすぎな主人公なんだよ。オリンピックに行くのに1,800円必要なのに、自分は練習しかしてないじゃないか。兄、そして寮生に120%甘えて出発する始末。最終的に、お兄さんはお金貰って帰るし。

 

加納治五郎に、自分の金で行くことを焚きつけられた後、自分でお金を工面する様子があったか?せいぜい、物を売るシーンだけだ。

なんか、幸運が続いてオリンピックに行けちゃいました、みたいな感じで、応援する気が全く起きなくなる。

 

車引きの清さんも、なぜか満足そうな顔で金栗を見送ってるし、この作品に出てくる登場人物は、なんだか自己中ばかり意味が分からん。

 

全般的に脚本が大雑把。

 

また、クドカン作品に共通することかもしれないけれど、主人公が基本成長しない。

「ガキはガキのまんまが一番いいんだよ」的な雰囲気が終始ある。

IWGPまこっちゃん、KINGなんてまさしく走だろう。結局終始暴力。暴力や縄張り争いは惨い、無益な物ということを学ばないのだ。

 

まだまだ、始まって先はある。

苦労しているシーンは何となく書かれているけれど、あまりヘビーには書かれない。確かに、日曜の夜にサクッと見る分には十分かもしれないけれど、それでは、印象に残る作品にはならないと思うのだが…

 

ではでは。