駄話日記

おもしろきこともなき世をおもしろく すみなしものは心なりけり

繊研新聞ピックス 2017年4月11日(火)

毎日ブログを書くネタはなかなか無い。

しかし、毎日記事をアップするためには、ネタを探す必要がある。そこで、今日から購読している『繊研新聞』の記事から、個人的に興味のあるネタをピックして見ようと思う。 

 

今回のピックス

「家計調査報告」

 

洋服の消費支出が3年連続下がっている。男性衣料、婦人衣料共にだ。家計に対する、衣料の出費が少ないということは、現場の人間からしたら肌で日々感じている。「必要な時に、必要なものをしかも出来るだけ安い価格で」が現在の買い物である。これは、流行とは一切関係ないところで消費が進んでいるということだ。

 

特に、GMS業態では、その傾向に強い。流行を買うということは少ない。割引を実施していることは日常茶飯事だし、お客もそれに慣れている。割引を待つことがほとんどだ。そうすることで消費の悪循環が生まれる。

今では、以前よりも衣料が様々なところで溢れている。しかも低価格で、十分着ることが出来る物が多い。本当に凝り性か、洋服が好きな人でないと洋服への出費は拡大しない。

 

さて、GMSの衣料は相変わらず苦戦している。イトーヨーカドーは引き続き衣料の縮小を進める方針のようだ。確かに売場面積が46%を占めて、売上構成比が20%のカテゴリーは縮小される筆頭だ。

では、なぜGMSで衣料を買わないのか。僕は二つ原因があると思う。(おそらくもっと理由はあると思うけど...)

①魅力が薄い

はっきり言って、売場を見ても何も面白くはない。陳列している物はシーズンによって確かに変わっているが、代わり映えしない。何より、何をオススメしているのかが分かりにく。例えばUNIQLO。打ち出したいアイテムやカテゴリーは店頭前面に拡張し訴求している。何がオススメなのか分かりやすいし、自然と手に取り、入店の切っ掛けになる。正直回転の早いブランドだと思うし、その体力も十分にあるから、トレンドのアイテムを絶えず作り続けることが出来るアドバンテージは大きい。

 

一方GMS。チノパンを大量に積んでいて誰が買うだろうか。一度一日何本山積みのパンツが売れたか計算してみるといい。そしてプライベートブランドの価値が薄い。オリジナルアイテムより模倣品のセレクトショップオリジナルが大量に売れる時代だ。安くトレンドが買えるということは、昨今の衣料の定石だろう。そう、GMSにはトレンドを追い求める意志がなく、そのことが衣料売場の魅力を大きく損なっていると思う。

 

②消費のアイコンの不在

10年くらい前ギャルが商品の牽引者だった。「カリスマ」がもてはやされ、メディアもそれを猛烈にプッシュした。流行に敏感な若者はこぞって109へ。

はたして、今の日本でそのような存在はいるのだろうか。出費よりも貯蓄の傾向にある昨今だ。お金を使うことが褒められたことではないような雰囲気もある。しかし、お金を使わなければ経済は回らない。一番お金を持っている層の購買意欲を刺激する必要がある。

ギャルはお金を使うと、どんな風に自分がなるのかがイメージできた。だから、その理想を求めて多くの10代はお金を109に落としたのだ。しかし、今ではギャルは少なくなった。かつてギャルだった10代が成長した結果、ギャルでこの先いくことのイメージが彼女自身出来なくなったのではないだろうか。新規ギャルの育成が出来なかった、さらに、成長したギャルとともにブランドもギャルの先を提示できなかったブランドは時代の波に淘汰されていった。どんな流行も、先のイメージを提示できないと廃れることが顕著に出た例だと思う。

 

つまり、GMSGMSで買い物をした結果のイメージを客に持たせる必要がある。それはタレントを起用するのか否かはかくお店によると思うが、イメージを植え付けることはすごく重要だと思う。ギャルによって栄えていた109が提示していた「ここで洋服を買うと、こんな自分になれる」「ここで買い物をすると、自分の生活が変わる」というよいうに、消費者の理想を具現化することが必要だと思う。

 

③物欲を刺激するアイテム

確かに、物が溢れている中で、「これを持っていないとまずい!」「欲しい!」と思う物は無い。しかし、そのような物を生み出さなければ、大きな消費の波を作ることは出来ない。日本にiPhoneが来た時、「日本の携帯の方が優れている」と笑っていたが、蓋を開けてみれば、iPhoneが携帯の主流になっている。最近はそこまでではないが、新型のiPhoneが発表されると長蛇の列が出来ていた。多くの人が「欲しい!」と思った結果だ。

GMSは多種多様な商品構成で成り立つまさしく総合スーパーだ。各カテゴリーで牽引するアイテムを作ることが必要だ。「安いから買う」は今の買い物の仕方だ。しかし「良いものは高くても買う」も一つの潮流であることに間違いは無い。後者の考え方があるから百貨店は復調してきているのではないだろうか。とりあえず作るのではなく、消費を牽引するアイテムを作ることが今の物作りに必要なことだ。

 

「家計調査報告」から長々と書いてきた。世帯収入は3年連続減少しており、消費が鈍っていることには疑い用が無い。一時しのぎの対策なら、「止める」ことが手っ取り早い。しかし、止めた後に成長は無い。客のニーズに沿った商品を作ることははっきり言って無理だと思う。洋服は最大公約数的な感覚で買う傾向にあるからだ。「シャツが欲しくて、値段もそれなりで、色は明るくて、etc」と様々な要素をなんとなく網羅している物を買う。それが今の多くの人の買い方だ。トレンドを重視して商品を作ることも別に良いが、商品の作り方自体再度見直す必要があると「家計調査報告」を見て僕は思う。