カエルと飛行機
カエルが鳴いてる。
そこらじゅうで。
色々な鳴き声が聞こえる。
何種類いるのだろう。
ほら、また新しい鳴き声が聞こえた。
楽団員のようだ。
ふと、少しづつ鳴き声が少なくなる。
遠くからは、飛行機の音。
飛行機が近づいてきた時、カエルたちは一斉に鳴くことをやめた。
飛行機が遠ざかるまで、カエルたちは鳴鳴かない。自分の存在を隠すように。
彼らは、飛行機を自分たちより大きな生き物として、捕食者として畏怖しているのだろうか。
音しか聞こえない、実態の見えない存在への恐れ。彼らにとっては理解しがたい存在だろう。
飛行機が遠ざかった。
彼らは少しづつ鳴き出す。
自分の存在を噛みしめるように。
実態のない敵に負けないように。