駄話日記

おもしろきこともなき世をおもしろく すみなしものは心なりけり

映画『何者』

を見てきた。

 

朝井リョウは気になっていたけど、どうしても見に行く勇気がなくてつい遠まわしに。

僕の闇の部分を露わにされそうな気がして…

 

『何者』は就活に臨む4人の学生を中心とした物語。自分は、登場人物の誰に当てはめて見るかで、人それぞれ思い入れが変わりそうな映画だった。

 

映画を見る中で、かつて僕自身がしていた恥ずかしいことを如実に思い出したり、今でもしてしまうことと重なって自分に嫌気がさしたり、心を刺されるような気分になった。

僕は、悲しいかな、人と色々比べてしまう傾向にある。しかも、自分が上だと分かれば容赦がない。そう、人間としてなっていない。人をマウンティングしてしまう性があるのだ。

 

この物語は就活を主としてストーリーが進むが、「内定」を勝ち得ることがゴールではない。自身のことを各々が省みて、決断し、明日へと一歩を踏み出すことが主題だ。

ある人物は、自分を省みて自身をさらけ出し、

ある人物は、理想志向から現実志向へと。

 

就職して5年目。それなりに安定し、新たな環境に飛び込むことを恐れる自分がいる。ただし、さらに年を重ねると、選択に幅はより少なくなってくる。まだ、僕が新しい決断を下すには遅くはない。

 

僕も一通り就職活動をした。「内定」をもらうことは、就職が決まったことより、自分自身の「存在」認められたという安堵感が大きい。僕は、ここに居ていいんだと思う。人はやはり、一人では生きていけない、あくまでコミュニティに属することが必要なんだと思う瞬間だった。本作でも、主人公が最後に今までの行為も含めて認められ、そこから新しい一歩を踏み出す。人に受け容れられることは人生の中でも多くはないし、貴重なことだと思う。

 

最後になるが、映画の主題と、舞台のリンクがよかった。就活は演じることが重要なことだし、舞台も演じてなんぼの物だ。

 

自分の嫌いな部分を見せられてしまう映画だった。が、自分を振り返れる、そして、希望をもてる僕にとって特別な一本になった。