向田邦子の『父の詫状』の中で、初任給で喪服を買う話があった。
それ以来僕は初任給で喪服を買う予定だったけど、実現には至っていない。
あまり、気の進む買い物ではないことは事実だし、買ったら買ったで早く着たいと思ってしまうかから、それはそれで不謹慎だし…
そんなわけで、何かある時には喪服でなく、スーツでのらりくらりとかわしてきた。
喪服を買うことは一つの覚悟だ。誰かの死に目に向けての買物だ。普段の買い物みたいに決められない。
ただ、そろそろ本気で喪服を買ってみようと思う。それはいずれ避けられない施主になった時に堂々と振る舞うために。